大成長!? 学生ビフォーアフター

一生モノの財産を得よう!

経済学部 経営学科 勝尾 裕子 教授
経済学部 経営学科 勝尾 裕子 教授

大学の「ゼミ」というと、特定分野の学問に特化し、それのみをただひたすら追究しているイメージが強いのではないでしょうか? 毎年定員を超える志望者を集めている勝尾ゼミもまた、会計学を中心に経済について学ぶ場です。けれど、人気の理由はそればかりではありません。勝尾先生は、ゼミを学問の場としてだけでなく、人間関係を重視し、人間力を成長させる場として提供していると言います。なぜ勝尾ゼミでは人間力を重視し、どのようにして一人ひとりの人間力を成長させているのでしょうか?
(内容はすべて2015年10月~11月の取材当時のものです)

chapter 1

勝尾先生は、ゼミとは「自分の頭で考え抜き、それをいかに人に伝えるかを学ぶ場」だとおっしゃいます。「このゼミでは、会計や経済などを題材に、自分で課題を見つけ、それをどう解決していくのか、一人ひとりが一生懸命考えます。答えのないものを考えるわけです。考えたことを、人にうまく伝えるためのトレーニングもします。そうした場を提供するのがゼミの役割の一つだと思っています。」

一生つきあえる友人に出会う

勝尾ゼミの募集要項には、

  • ① 課題発見・解決力を養う
  • ② プレゼンテーション能力を身に付ける
  • ③ 一生つきあえる友人に出会う

という3つの方針が挙げられています。③だけが他の2つと違って異質のような気もしました。その点について勝尾先生にお伺いすると、逆に驚かれました。「一生つきあえる友達というのは、本当の意味での財産ですよね。勝尾ゼミで学生生活を過ごせば、そうした友人ができます。私も、一生つきあうつもりでゼミ生に向き合っています」。ではゼミ生とどのように向き合っているのでしょうか? 勝尾先生にお聞きしました。

▲ 実際の募集要項の一部。将来の夢や趣味、生い立ち、大学での生活、長所や短所、大切にしていることや過去に頑張ったことなども尋ね、実際に面接をし、先生自身が一生つきあっていく気持ちで学生を選抜しているという。

一生モノの財産をつくる「場」を提供する

2年生後期にゼミが始まってすぐの頃には、揉め事が起きることもあります。余程のことでない限り介入しませんが、揉めて嫌なことがあったからといって、そこから逃げることは認めません。何であっても、それが解決するまで自分達でとことん向き合うこと。その姿勢こそが一生モノの財産になっていくと私は思っています。揉め事を解決していく過程で、お互いにぶつかり合い、懸命に向き合うことで、一人ひとりが驚くほど成長していくのがわかります。

ゼミでは、グループで発表する機会を数多く設けています。自分だけが調べてこなかったりすれば、グループのみんなに迷惑がかかります。先生や親から叱られてもたいした効果は見込めませんが、仲間から「ちゃんとやろうよ」と言われ、「もう迷惑はかけられない」、「逆に自分がみんなを引っ張る番だ」と気づいたとき、つまりは自分ではなく仲間のために一生懸命になるとき、人は芯から成長できるのだと思います。

▲ 勝尾ゼミは、この対面スタイルで行われるのが全学年共通の基本的な形。

▲ ディベート(討論会)を行う2年生の様子。同級生と切磋琢磨しあうことで「ああ、そうだったのか!」という気づきが得られるという。

それぞれの成長を評価する

ゼミを2年次に開始する時点では、いろいろなレベルのゼミ生がいますが、私は一人ひとりの水準を把握したうえで、どこまで伸びたのか、その成長力を評価しています。人と比べてどうかではなく、過去の自分と比べてどこまで伸びたか、一人ひとりの成長を評価することが、勝尾ゼミでいちばん大事にしているところであり、またゼミ生に求めていることでもありますね。

▲ 一人ひとりの様子を把握し、停滞していれば「どうしたの? いつでも相談にのりますよ」と話しかけます。

卒業後も続く、勝尾ゼミのタイムライン

2年生
自分で考える土台、
人に伝える基礎をつくる3つのメニュー
2年生
自分で考える土台、
人に伝える基礎をつくる3つのメニュー

1.新聞記事発表

2年生のゼミの初回に新聞の読み方を教えています。ただ読むのではなく「大量の情報の中から、少ない時間で、いかに不必要な情報を捨てていくか」という話をします。新聞記事をパッと見て、大きな見出しだけを読み、自分の興味や関心で「◯」「△」「×」をつける。それを30秒位で処理し、「◯」をつけた見出しの記事だけ隅々まで読む。それを毎日続けていると、以前に「◯」をつけた記事の新たな話題が継続的に出てきます。その結果、特定の話題や分野を主体的に追っている状態になり、「世の中の動きを知ることはこんなに面白いんだ」という実感とともに、自分が取り組むべき課題〜研究テーマを見つけることができます。

2.グループ発表

グループで発表するテーマを選び、資料や情報を収集したうえで、何が問題なのかということを考え、それに対する解決法を見つけていく。これらすべてを自分たちだけで行います。

3.ディベート

グループ発表で培った「問題を見つけ、それを解決する力」を、今度はディベートを通して「人にわかりやすく伝えていく」練習をします。初めてのディベートでは、ほとんどの学生が言葉に詰まり、うまく発言することができずに落ち込みますが、問題意識を持って取り組むことで必ず上達していきます。

▲ 始業のチャイムが鳴ると、時事問題のショートスピーチを行い、次に2名がランダムに指名されて、各自関心を持った新聞記事を発表する。これが勝尾ゼミ全学年共通の始まり方だ。続けていくと自分が興味・関心を強く持っている分野や業界が見えて、最終的には就職活動や卒業論文の方向性を決める際に役立つという。

▲ 机を三角形に組み、左右の班がお互いに熱い論戦を繰り広げるディベート。手前は審判を務める3、4年生だ。彼らにとっては、自分の昔の姿を客観的に振り返る機会にもなっている。

▲ 班のメンバーは、短時間で相手陣営への反論を組み立てなければならない。この日が初めてのディベートとあって、緊張しながらも楽しんでいる様子の2年生。

▲ 一方、審判を任された3、4年生。実は彼らは学年全体の世話役でもあり、2年生の一番身近な先輩として悩み相談や就職活動までサポートする、とても頼もしい存在だ。

3年生
問題を分析し、
正しく伝えるスキルを身につける
3年生
問題を分析し、
正しく伝えるスキルを身につける

3年生でもグループ発表、ディベートを通じて、財務会計に関する諸問題について検討していきます。この頃には自分の頭で考えることが習慣化しつつあり、スピーチ力やディベート力も半年前と比べ、驚くほどアップしています。秋には、それまで学んだことの集大成としてインゼミ(インターゼミナールの略で、他大学との合同ゼミ発表会のこと)を実施しています。

▲ 3年生になると全員の意識やスキルがだいたい揃い、インゼミに向けた準備を始められる状態になるという。

4年生
自ら研究テーマを選び、
卒論を完成させる
4年生
自ら研究テーマを選び、
卒論を完成させる

卒業論文の作成を行います。卒業論文のテーマは、財務分析から不正会計問題、金融危機まで、会計を中心に経済全般に渡ります。4年生の最初の授業で、「どのテーマを選ぶにせよ、自分のやりたいこと、打ち込めるもの、これだったらやり遂げられるというものを選びなさい」と伝えています。自分が好きかどうかわからないものを、とりあえず合格点は取れそうだからと頑張っても意味はありません。この分野なら誰にも負けない、という分野を自分の判断で選び、やり遂げて、この勝負でなら自分は絶対勝てるという実感を持って社会に飛び立ち、堂々と渡り合ってほしいのです。

▲ 卒論の途中経過を発表する4年生。論文の内容はもちろん、「考えた結果を人にどう伝えるのか」というテーマはここでも外せない。

卒業後
一生モノの財産をつくる場は、
卒業してからも続く
卒業後
一生モノの財産をつくる場は、
卒業してからも続く

卒業生たちは、公認会計士、税理士、国税専門官、官公庁、グローバル企業をはじめとする財務部門、経営コンサルティングファームなど様々なフィールドで活躍しています。大学院に進む方も多数います。そして一生モノの財産をつくる場は、卒業後も続きます。「勝尾ファミリー」とOB・OGが勝手に名づけているようですが(笑)、OB・OG会や忘年会、勉強会など、卒業生は頻繁に集まって親睦を深めています。しかも、勝尾ゼミ卒業生ではない配偶者や子供を連れて、です。卒業後も、転職や起業、その他諸々の人生相談のため、勝尾研究室へOB・OGが訪れることも珍しくありません。

長い人生の中で、仕事や家庭での諸事情によって、人と顔を合わせにくいような状況になることは誰にでも起こり得ます。そうした噂を耳にしたとき、私は卒業生の集まりがあるたびに「**さん、元気にしている?」、「先生が心配してるって、何かのときに伝えておいてね」と言っています。そうして私が心配していることを風の便りで耳にしたとき、彼や彼女は勇気を振り絞って会いに来てくれます。つらいのによく頑張って話しに来てくれた、と、もうそれだけで応援したくなります。そして親身にアドバイスをします。たとえ人生の谷底にいると悲観する時期があったとしても、まわりの人たちの励ましや、本人のそれを乗り越えようとする気持ちがあれば、いずれ必ず脱します。私はそうなるまで応援し続けます。

▲ 先日、OB主催で行われた忘年会のスナップ。集まった「勝尾ファミリー」は学年も世代も超えた交流で盛り上がった。

ゆる学・出張編 カツオ先生の1日