HOME  > 「学ぶ」  > 教員インタビューINDEX >  理学部生命科学科 安達 卓 教授

モノから人が見えてくる大学教員モノ語り

ひとつのことに打ち込むビリーバー

1982年名古屋市立菊里高等学校卒業、86年北海道大学理学部卒業、92年名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程修了、同年、愛知県がんセンター研究所研究員、94年名古屋大学理学部助手、96年名古屋大学大学院理学研究科助手、99年文部省在外研究員として、アメリカ・ミネソタ大学へ派遣、01年神戸大学発達科学部助教授、03年神戸大学大学院自然科学研究科助教授、07年神戸大学大学院理学研究科准教授、09年より現職。ショウジョウバエの遺伝学を用いた発生と生殖のしくみを研究。最近はシュモクバエなど他の昆虫の研究も行っている。

Q. 先生にとって大切なモノとは?

昆虫の洋書

40年前に父が出張先で買ってきたお土産

父は物理学者でしたが、私は物理学よりも生物学が好きで、昆虫を捕まえて標本を作る方がずっと楽しかったんです。それは父には遊びにしか見えなかったようでよく叱られましたが、不思議なことに、父が外国へ出張に行くとお土産は昆虫の本でした。ここに父のサインがあるのですが、76年の9月15日にオックスフォードで会議のアシストをした時に買ったということをわざわざ書いているんですよ。これがなければ、この本をいつ入手したのか私もそのうち忘れてしまったでしょう。「英語とコンピュータだけはやっておけ」というのが父の口癖でしたから、これで英語の勉強をしろという意味だったと思います。正直、勉強になったかどうかはわかりません。英語が大事だってことは、今ならわかるんですけどね。

英語で書かれたお父様のメッセージ(右)。「日本語の筆跡よりも、英語の方がなぜかきれいな人だったんですよ」

昆虫の標本

集めるのはあえて不人気なもの

私の場合、研究という意味もありますから、世の中の昆虫マニアに人気のあるものではなく、不人気なものを集めています。大量に生息しているものですね。例えば、東南アジアの島ごとに配置して見ていくと、氷河期になっても地続きにならない海溝を境に、ぜんぜんちがうものが進化することがあります。そういうのを調べると非常に面白いんですよ。比較的簡単に自分だけの発見というものに遭遇できるので、「おっ、見つけたぞ」とエキサイトできます。大量にいるからつまらないと無視していると、こういうこともわからない。もちろんこれらの一部は、研究の新材料になります。

ある波長の光だけを反射する青い構造色をもつチョウチョ(左下)。オスとメスが混ざったモザイクと呼ばれるチョウチョやクワガタも授業で扱う(右上)。

ピアノの楽譜

好きなジャンルは限られています

大学院時代に習っていた石崎宏矩先生が「右脳も使わないとバランスが悪くなるよ」とおっしゃっていたんです。京都の芸大をご卒業された方で、いつも絵を描いていましたね。私は絵が得意ではないので、大学受験を機に離れたピアノをまた弾き始めたんです。5分あればできるリラクゼーションなので、気分転換には大変便利です。習慣になると面白いことに、心が安定した気がしますね。音楽のもつ精神作用があるんじゃないかなと思います。また、学習院に来た頃、海老彰子さんというピアニストにお目にかかる機会があったんです。弾き方のコツを言葉で教えてくださる方で、それまで弾けなかった曲が弾けるようになりました。やはり習う人に習うと、できるようになるんですよ、これが。

年季の入った楽譜。同じ曲を何十年弾いても完成はしないという。中学の同窓会で「今もショパンを弾いている」と答え、友人に驚かれたとか。

Q. 先生のキャンパスライフは?

ショウジョウバエ前立腺の2核細胞

「細胞の中に核はひとつ」という生物学の常識を覆す驚くべき写真!大量のタンパク質をメスにあげるために必要なしくみであることがわかったのだそう。助教の谷口喜一郎さん撮影。

08:00 起床
「若い時から朝は苦手です(笑)」
10:00 学校到着
授業がある時は、9時前には来て授業の準備をする。
12:00 昼食
学生たちと一緒に学食で。
13:00 仕事
22:00 帰宅
以前は年中最後まで残っていたので、最近は遅くならないよう心掛けてはいるが、帰宅後も仕事。「家も大学も区別はないです」
26:00 就寝
シュモクバエのオスが、縄張り争いをしているところ。お互いの目の長さを比べ合い、互角の場合、ものすごい喧嘩になるのだとか。大学院生の八木智雅さん撮影。

Q. 1問1答で教えてください。

授業中でのハプニングはありますか?

数年前、起きたら授業開始7分前であせりましたね。幸いにも自宅が近所でしたから、すぐに家を飛び出して服のボタンをかけながら走って来ました。教室に入った時にはチャイム直後で息があがっていましたね。学生は気づいていなかったので、何事もないかのように授業を始め終わらせました。普段、出席をとって遅刻もつけていますから、自分が遅れたら合わせる顔がありませんね。

職業病はありますか?

チョウチョの標本など「わぁきれい」とみなさん声をあげられますが、私はそのしくみがどうなっているのかをすぐ考えてしまいます。「昆虫が好き」と言うと、かわいいと思っているように誤解されますが、私は昆虫をかわいいと思ったことは一度もないです。興味深いんですね。行動でも形態でも。

教授から見た学生のイメージは?

協力的ですね。後輩の指導を先輩みんながやってくれます。大学に来た当初は、ちょっとびっくりしました。なんでこんなに気立てのいい人が多いのかなと。学風なんでしょうね。また、驚くほど優秀な学生もいて、これには感心します。

今後の夢・展望はどんなものですか?

私の専門は、遺伝学でよく使われてきたショウジョウバエを使って、発生や生殖に関する研究をすることですが、最近はシュモクバエという長い目をもったハエの研究を始めています。これを用いると、ショウジョウバエではなかなか気づけなかった重要なしくみが生き物に備わっていることがわかり、久しぶりに新鮮な気持ちで研究に取り組めています。この研究を成就させることが当面の課題です。

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