HOME  > 「学ぶ」  > 教員インタビューINDEX >  国際社会科学部国際社会科学科 乾 友彦 教授

モノから人が見えてくる大学教員モノ語り

世界経済の行方を見つめるエコノミスト

1962年東京都生まれ。85年一橋大学経済学部卒業後、日本政策投資銀行入行、90年アメリカ・Johns Hopkins大学経済学部修士課程修了、93年International Energy Agency出向、00年日本大学経済学部助教授、03年より教授、06年一橋大学経済学研究科博士後期課程修了、09年内閣府統計委員会担当室室長、12年日本大学経済学部教授、14年学習院大学国際社会科学部開設準備室教授、16年より現職。専門は「経済発展論」、「国際経済学」。最近は製造業のサービス化、サービス産業の生産性、教育や医療の質の計測とその決定要因について分析している。

Q. 先生にとって大切なモノとは?

『WORLD ENERGY OUTLOOK 1994〜1996』

パリで共同執筆したIEAのベストセラー

日本政策投資銀行からパリのInternational Energy Agency(国際エネルギー機関:IEA)に出向していた頃、経済分析部のメンバーと共同執筆した報告書です。国際色豊かなIEAの仲間やOECD(経済協力開発機構)のエコノミストたちと働いた三年間は、私の価値観を大きく変えました。エネルギー情勢の分析を世界に発信する『WORLD ENERGY OUTLOOK』に携わり、その影響力を目の当たりにしたことが、エコノミストをめざすきっかけになりました。この仕事を一緒に行ったトルコ人のファティ・ビロル氏とは、よくコーヒーを飲みながら、いろいろな話をしましたね。今はIEAトップの事務局長に就任し、エネルギー業界では著名なエコノミストです。私よりも年上ですが、彼とは20年来の友人で、パリに行く時は必ず会うようにしています。こういう思いがけない人との出逢いも、私にとって大きな財産です。

IEAが毎年秋に発表するフラッグシップ出版物。「今は30人くらいで執筆していますが、私がいた頃は10人弱でした」

『生産性と日本の経済成長:JIPデータベースによる産業・企業レベルの実証分析』深尾京司・宮川努編

17年目を迎える研究のホームグランド

日本大学経済学部に転職した2000年、銀行員時代の先輩であり、今は学習院大学の経済学部長をされている宮川先生に声をかけていただき、経済産業研究所(RIETI)のプロジェクトに参加しました。このプロジェクトはRIETIで継続的に実施されている研究のひとつで産業の生産性に関するものです。その成果である『生産性と日本の経済成長』という本はデータベースの作り方などを説明したものですが、日本だけではなく、世界中から問い合わせをいただいています。そういう意味では『WORLD ENERGY OUTLOOK』と似ていますね。学外の先生方と共同するこのプロジェクトは、私の研究のホームグランドです。この学部やIEA『WORLD ENERGY OUTLOOK』、内閣府統計委員会担当室も含め、立ち上げの時に参加するのが私の人生の特徴かもしれません。

約10年分の研究をまとめた報告書。この他にも一緒に様々な研究をするメンバーは、切磋琢磨しあえる存在。

イームズのラウンジチェア

授業の合間の小休止は大切なひととき

パリの街を散歩するのはすごく楽しいですね。休日にぶらぶらと歩き回って過ごすうち、それまで全く関心がなかった建築や家具のデザインを好きになりました。ルーブル美術館へ行った帰りに、近くにあった家具専門店でこの椅子と出逢いました。古いアメリカを思わせる、がっちりしたところが気に入って、結局2年くらい考えてから「思い出に買って帰りたい」と思い、帰国する前に購入しました。研究室にもってきてからは、授業が終わるとここに座って少し休んで仕事に戻るという毎日です。この椅子のペアであるオットマン(足のせ台)は、購入をためらいました。あると寝てしまうと思いますので、もう少し年を取ってからの楽しみにしようと思っています。

多忙を極める日々に、なくてはならない愛用品。「定年まで使おうと思っています(笑)」

Q. 先生のキャンパスライフは?

今は、経済変化の真っ只中

乾教授は現在、過去20年間のグローバル化が経済活動に与えた影響について、海外の先生たちと研究中。「世界経済のグローバル化の進展により、どのような影響を日本経済が受けたかについて、強い関心をもっています」。その結果は、経済新聞のコラムなどに掲載されています。

06:00 起床
目覚めると手元にある書物を何でも読み始める。「朝ごはんはしっかりと食べ、すっきりと目覚めてから家を出ます」
08:00 大学到着
今日はどんな話をどういう順序で話すか、1時間ぐらいかけて授業の準備をする。
09:00 授業
11:30 昼食
忙しい時は早めに学食で食べるか、お弁当を買ってきて研究室で。音楽を聴きながら時にはイームズチェアでしばし休憩。12時頃から授業の準備。
13:00 授業
14:40 教授会
この日は月2回ある教授会に出席。カリキュラムの改善など先生方の意見をまとめる教務委員担当。
17:00 研究活動・授業の準備
21:00 帰宅・夕食
次の日の授業の準備。
24:00 就寝
寝る前にも、読書は必至。

Q. 1問1答で教えてください。

教授から見た学部のイメージは?

国際社会科学部は創設されたばかりなので、これから学生のみなさんと創り上げていく、自由で創造的な学部です。主な留学先であるアメリカの大学のような雰囲気になればいいなと思っています。一生懸命勉強する一方で、大学生にしかできないことをやってほしいですね。

授業中での失敗談はありますか?

名前を憶えるのが不得意なのに、なんとか親しみをもってもらおうとお名前を呼んで話しかけるのですが、その学生の名前を間違えて呼んでしまうという失礼なことをしたことがあります。また、授業の準備をする割には、前回の授業でどこまで終わったのか忘れてしまい、「なんか話した気がするな」とずいぶん経ってから気が付いたことがあります(笑)。

研究分野に関することで、実生活に役立つことは?

経済学は日常生活に直結する学問です。経済が分かると世の中の動きが見えてきます。たとえば、世界経済の動きを理解することは、日本経済の未来を判断するうえで貴重な示唆となり、生活設計や仕事の方向性を考える時の指針になります。また経済のグローバル化の影響を考えることは、どのような能力が今後必要とされるかについて重要な手掛かりとなります。このように、私の研究分野では実生活に役立つことがたくさんあります。

今後の夢・展望はどんなものですか?

グローバル化した経済における望ましい教育を検証してみたいと考えています。人工知能やアウトソーシングによって代替されない、創造性豊かな人材を育成する教育とはどのようなものなのか?そもそも「創造力豊か」とはどういうことか?真のグローバル人材を育成するためにどのような教育が必要か?などについて具体的に考えていきたいと思います。

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