HOME  > 「学ぶ」  > 教員インタビューINDEX >  文学部心理学科 伊藤 研一 教授

モノから人が見えてくる大学教員モノ語り

身体の声を聞く臨床心理学者

1954年東京都生まれ。1986年、東京大学大学院博士課程単位取得修了。1986年、大正大学カウンセリング研究所専任講師、1997年文教大学人間科学部教授を経て現職。論文に「臨床動作法とフォーカシングの連続性と相違」(臨床動作学研究)、著書に「治療者にとってのフォーカシング」(至文堂)、「心理臨床への道しるべ」(八千代出版)など。

Q. 先生にとって大切なモノとは?

エレキギター・エレキベース

いまいちばん、熱中しているもの

2年半ほど前、ちょうどサバティカル(研究に専念するため、1年間授業を持たなくてもよい長期休暇)のときにギターの個人レッスンに通いはじめました。元々楽器が好きだったのですが、アルトサックスも尺八もフルートも、ちょっと手をつけては中途半端に終わってしまっていた。その後ベースのグループレッスンも受け始めました。そのグループで知り合った同年代の方と意気投合し、大学教員の特権で楽器のできる大学院生を巻き込んで、7人編成のバンドを組んでいます。やっているのはビートルズのカバー。聴いているときには「いい曲だな」と思う程度だったのですが、弾いてみるとなぜこんなシンプルなフレーズでぐっと心を掴むことができるんだろう? と、違った良さを知ることができますね。

研究室に置いてあるギター。このほかにベースも。「空いた時間にこっそり弾いています」

ランニングシューズ

アイデアがふっと湧き出ることも。

もうひとつの趣味がランニングです。週3〜4回、10キロくらいの距離を走っています。始めたのは2009年頃。これも大学院生らと一緒に皇居を何周かしたり、お台場の公園を何周かしたりする駅伝スタイルで楽しむこともあります。あくまでも無理をせず、その後のビールをおいしく飲むために走ります(笑)。走っているとクライエント(心理療法を受ける人)との接し方や、研究についてのアイデアがふっと浮かぶことがあるのもいいですね。多趣味と言われることもありますが、心理療法で子供や青年期のクライエントと会うときには相手が好きなことにこちらも興味を持つことが重要なんです。だからテレビゲーム、アニメ、漫画……いろんなものに手を出しています。

愛用のランニングシューズ。ふだんは自宅近くの川沿いを走っている。「季節によって景色が変わるのが楽しいですね」

ダイニングセット

もっとも大切な「面接」に必須の一品。

心理療法において、クライエントの方と直接会う「面接」はもっとも重要なものです。最初から用意されていたソファは30分も経つと腰が痛くなってしまうものだったので、自分で確かめて買い直しました。座る椅子やテーブルについては、おそらくほとんどのカウンセラーや心理療法をやる人間が気遣っていると思います。学習院大学の心理相談室立ち上げの頃には週に10人ほどのクライエントに会っていました。面接はもちろん楽なことではないですが、人と会うことで、こちらの世界も広がるんです。クライエントに元気になってもらうことも大切な仕事ではありますが、同時にこちらもクライエントから助けられているなと感じることは度々あります。

一見何の変哲もないダイニングセットだが、硬すぎず柔らかすぎず、すわり心地のよい椅子には教授の思いがこもっている。

Q. 先生のキャンパスライフは?

趣味の時間を大切に

ランニングに楽器練習……。趣味をたくさん持っている伊藤教授は毎日早寝早起き、朝からたっぷり楽しんでいる様子。

04:30 起床
05:00 ランニング
1時間ほど江戸川沿いを走る。スピードは気にせず、ラクに楽しく!
06:00 シャワー、朝食
07:00 楽器練習
ギターやベースを練習。
8:30 出勤
9:00 授業、論文作成など
18:00 帰宅、夕食
自分で食べたいものを作ってお酒と共に楽しみながら楽器をつまびく時間。
22:00 就寝
家族が帰宅する前に寝てしまうことも!

Q. 1問1答で教えてください。

いま熱中していることは?

エレキギター、ベース、ランニングに加えて自転車も。好奇心が強いので、すぐに首を突っ込みたくなってしまうんです。子どものクライエントと会っている頃、ゲームにハマって寝不足になったこともありました。

研究分野に関することで、私生活で役に立つことは?

迷いが生じたときに、自分の「身体」に聞いてみること。何か問題があるとき、身体がどう感じているかを意識する「フォーカシング」という心理療法の研究をしています。「なんとなく嫌だな」という気持ちを放っておかず、身体の声に耳を傾けることを、ふだんの生活でも行っています。

職業病はありますか?

他人の言動を素直に受け取らず、その裏にあるものを考えてしまうこと。私たちの仕事は相手の言葉や行動の背景を考えて、どうしてこうなっているのかと考えるのが重要なんです。そのため、ふだんも素直に受け止めることができなくなってしまいます(笑)。

これからの夢、展望は?

さまざまな心理療法技法の立場を統合する視点を見出すこと。世の中にはたくさんの心理療法技法がありますが、私は「フォーカシング」を軸にして、いろんな療法を見つめ直しています。そうすることでひとつの技法のいい悪いではなく、どうやって問題に迫るのかが見出せるのではないかと思っています。

編集後記

釣木 文恵 PROFILE

(つるき・ふみえ)
学習院大学文学部日本語日本文学科卒ライター。
雑誌「クイック・ジャパン」「ピクトアップ」などで執筆のほか、WEBマガジンでのインタビューなど。
大学時代は学部の談話室に入り浸っていました。

クライエントに寄り添う趣味人

たくさんの趣味に囲まれ、楽しそうにしている伊藤教授。「クライエントに1時間会うだけで消耗しきる経験もあります。でもそれも含めて楽しい。知らない世界を知ることができるんですから」と語るその表情からは、枯れることのない好奇心が垣間見えました。

学部関連コンテンツ

  • 学部についてもっと詳しく知るなら学習院大学 学部サイトへ!