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モノから人が見えてくる大学教員モノ語り 文学部哲学科 佐野 みどり教授のモノ語り「研究の成果を 未来に手渡すために 」

教員プロフ 文学部哲学科 佐野 みどり 教授

源氏物語絵巻研究のパイオニア

1951年生まれ。1975年、東京大学文学部美術史学科卒業、1982年東京大学大学院人文科学研究科美術史専門課程単位取得満期退学。武蔵野美術大学造形学部教授、成城大学文芸学部芸術学科教授を経て2002年より学習院大学文学部哲学科教授を務める。1999年には『風流・造形・物語 日本美術の構造と様態』(スカイドア)で第1回紫式部学術賞を受賞。他の主な著書に『じっくり見たい源氏物語絵巻』(小学館)など。

Q.先生にとって大切なモノを見せてください。

この1冊が、いまの私の原点です。

私が小学1年生の時、中央公論社から出版されたこの『谷崎潤一郎全集』を父が買っていました。そして2年後に、源氏物語シリーズの刊行が始まったのです。その頃の私は、とにかく身体を動かすのが苦手で不器用。ゴム飛びなどいつもみそっかすでしたから、家にこもって、ただただ活字になっているものを読むのが好きでした。源氏物語も、ほとんど理解できないままひたすら読んだのです。日本文学、歴史、日本文化……そして女性たちのロマンチックな世界。それらをすべて扱える日本美術史を専攻することになったきっかけがこの一冊。まさに私の原点です。

1品目 谷崎潤一郎全集
2品目 調査・研究になくてはならない相棒

日本美術史の研究は、「モノ」から始まります。作品を生で見て細部を検討し、その成り立ちや、どのようなメッセージを発しているのか、当時の人たちのどんな考え方や価値観が投影されているのかを議論していく……。日本は過去の絵画作品がとてもよく残っている国。もう新しい発見は出てこないだろうと思ってもまだまだ出てくるのです。ですからとにかく調査を重ねて、作品に出会うことが大事。このカメラは、大学院生の頃にやっとの思いで買っておよそ35年、修理を重ねていまも現役で使っている大切な一品です。ピント合せはマニュアルだし、フィルムも手巻きで扱いは面倒。それでも、35ミリフィルムで撮った画像のクリアさは、デジタルを遥かに凌駕しているんですよ。

3品目 ペリカンの万年筆

そろそろ自分の研究をまとめて、次世代の研究の基盤をつくる時期に差し掛かってきたと思っています。私の研究人生は源氏物語から始まったので、源氏物語を描いた「源氏絵」を国内外から集めたこの『源氏絵集成』をつくりました。重視したのは研究の時使いやすいよう、とにかく全てをクリアなカラー図版にし、詳細な解説をつけること。それから、スキャンしやすいようページがぱっくり割れる装丁にこだわりました。長年の研究生活で、いろんな作品を見せていただけるネットワークもできました。私にできるのはそれを利用して、作品のデータを集成し次の世代に渡すことなのです。詳細な解説をつけたいい図版集を出版することで、次の世代が新たな研究で花を咲かせてくれるといいなと思っています。

Q.先生のキャンパスライフってどんな感じですか?

睡眠時間なんと3時間!

午前中は授業、午後は調査・研究で都内を飛び回るという忙しい日々。まとめて寝るのは3時間! その代わり、いつでもどこでも寝られる体質なのだとか。

6:00 起床・仕事

「苦手な書類関係の処理も、時間に限りのある朝だとパッとできてしまう」

7:50 出勤
8:30?9:30 授業準備?授業

一限がある日は8:30、二限からの日は9:00頃に学校に到着し授業準備を。

14:10 事務・学生指導など

学校にいられる日は学生指導や事務。それ以外の日は外部の委員会に出席したり、展覧会を回ったり。

15:30 調査 20:00 帰宅・夕食

調査のある日は都内の美術館やコレクターの元へ。調査データはすべてスキャンしてデジタル化するなど、研究前の分類が大変!

25:00?27:00 就寝

論文執筆や学生の論文添削等。仕事中も23時ごろには睡魔が襲うため、学生へのリアクションペーパーの文字が判別不能になることも。

Q.普段はなかなか聞けないことを一問一答で教えてください。

学部や研究室の学生たちの印象は?
発信力が強い。毎回、授業をきっかけに考えたことをいろいろ書いてくれるリアクションペーパーを読むのが楽しみです。
休日の過ごし方は?
日曜は家事。87歳の母が元気で、毎日の家事を手伝ってくれています。お礼に、春休みや夏休みには一緒に海外旅行に行っています。
集めているものなどはありますか?
食玩。なかでも組み立てられる海洋堂のチョコエッグは、江戸の遊戯精神に通じるものがあります。「アリゲーターの誕生」というのが一番のお気に入り。
いま熱中していることは?
仕事!いまだに展覧会ですばらしい作品を見ると、調子の悪かった目が急によくなったり、細胞レベルで活性化していくような気がします。

My Favorite! 教員編

好きな場所:

文学部棟4階エレベーターホール

上から見下ろすしだれ桜は絶景です。
好きなランチ:

熱烈上海食堂

佐野ゼミ御用達!「真鯛のお刺身上海風」が絶品。
取材を終えて・・・ 取材・文=鈴木 文恵

少女時代から変わらない「好きなもの」への熱いまなざし

「研究ってつねに新しいものが生まれて止まることがない。ゆっくりしたいなと思うこともあるけど、やっぱり楽しい。」と笑う佐野先生。幼い頃好きだったものを変わることなく追求し続ける姿が魅力的でした。