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モノから人が見えてくる大学教員モノ語り 法学部法学科 櫻井 敬子教授のモノ語り「過去の慣習にとらわれなければ新たな道が拓ける」

教員プロフ 法学部法学科 櫻井 敬子 教授

暮らしの全てに関わる「行政法」、その面白さの伝道師

1964年生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。1999年から2000年にかけ、研究員としてドイツ・ハイデルベルク大学に留学。2003年より学習院大学法学部教授に。日本公法学会、日本財政法学会、警察政策学会、日本不動産学会に所属。内閣府参与、社会資本整備審議会委員、関税・外為審議会委員なども務めている。『行政法』(弘文堂)、『行政法のエッセンス』(学陽書房)、『行政法講座』(第一法規)などの著書がこれまでになくわかりやすい行政法の書籍として人気を集めている。

Q.先生にとって大切なモノを見せてください。

見た目から変えていくことが大事。

法律に関する本って、だいたいグレーとか地味な色で、中身もびっしり文字ばっかりってイメージがあるでしょう。まるで忍耐力を試しているみたいじゃない?だからこそ、自分が出す本はとにかく読みやすくしたいと思ったんです。『行政法』は業界初の横書き、二色刷りにしました。フォントの切り替えや、文字のどの部分に色をつけるかも全部指定して、表紙のデザインもした。行政法って、本当は面白いんです。行政って要は国家権力。その神秘を解き明かしたいと思ってこの道に進んだけれど、学ぶうちに本当は俗っぽくて日常生活に密着してるって気づいた。その面白さを伝えるためには、見た目はやわらかく、中身はわかりやすくすることが大切なんです。

1品目 著書『行政法のエッセンス』『行政法講座』
2品目 花柄グッズ

お花、大好きなんです。でも研究室に生花を置いておくとエアコンの風ですぐに枯れてしまうから、窓際に飾っているのは造花。研究室の机がドア側じゃなくて外を向いているのは、空と花を見ながら仕事したほうが気持ちいいから。トイレットペーパーも花柄のものがいいんだけど、ドイツに留学した時にはかわいいのがなくて困ったな。学者は本に埋もれて昔のことを学ぶというのもひとつのタイプ。でも、私は今の生活にかかわること、現代的なことに関心があるんです。研究室に置く本を思い切り整理して大事なものだけを残し、ちょっとだけ好きな花や花柄のものを置いておく。そんな一般的な感覚でいることって、大事なことだと思うんです。

3品目 パソコン

机の上にはほとんど何も置きません。この2台のパソコンだけ。もちろん時代を超えて大切な書籍はあるから、そういうものはちゃんととってあるけれど、今はおおむねインターネットで資料を収集するほうが効率的。行政法も含めて学問はいま、変化のまっただなかにあります。私自身、大学の時に学んだことはとうに時代遅れになっている。だから実際に政策をつくる場に出くわすと、学んだことが役に立たないという事態にぶち当たることはめずらしくない。そういう時は、いままで培ってきたことにしがみつかないで捨て去る勇気も持たなければ。学生さんたちにも「先生の言うことをうのみにしたり、先生に褒められるようなことばかりやってちゃダメ」と伝えています。これからを生き抜くためには、自分で考えて見極めていかないと。

Q.先生のキャンパスライフってどんな感じですか?

参与になってから大忙し

内閣府参与となり、2年をかけて「行政不服審査法」の改正案のとりまとめまでこぎつけた櫻井先生。忙しいけれど仕事とプライベートはきっちり分けている模様。

6:30 起床→9:00 出勤

国会議員の朝食会(朝食をとりながら議論やレクチャーを行う)に呼ばれた場合は8時開始など、かなり早いことも。

9:00?9:30 出勤 10:00授業
13:00 仕事

学校にいられる日は学生指導や事務。それ以外の日は外部の委員会に出席したり、展覧会を回ったり。

13:00 授業、委員会参加など

委員会やワーキンググループなどへの参加が多く、霞が関と目白を行ったり来たり。「都内の道はほとんど覚えました(笑)」

18:00 研究会・夕食

「法律の先生方はいろいろな研究会をもつことが多い」。お弁当が出る場合は、夕飯もそこで済ませてしまう。

21:00 帰宅→23:00 就寝

よほどのことがない限り、家では仕事はしない主義。「書類を持って帰ると家が散らかるから!」

Q.普段はなかなか聞けないことを一問一答で教えてください。

受け持つ授業の学生たちはどんなタイプですか?
本当に真面目。ただ、行政法がダイナミックに変わっているとか、法律って完璧にできているようで抜けがたくさんあるなんて話をするとぐっと興味を持ってくれます。
職業病はありますか?
あらゆる事件の法的根拠が気になってしまう。だいたい「なんでこんな仕組みになってるの?」って法律を辿ると、昭和20年代にアメリカをお手本に急いで作ったものだったりすることが多い。
授業中のハプニングや失敗談を教えてください。
開学記念日で休みなのに、学校に来てしまったことが3回はあります。「今日が最後の授業です」ってまとめてしまったらあと1回残っていたことも(笑)。
これからの展望を聞かせてください。
法律って今まで権威的でいばってた。これからはもっと国民にやさしい、ユーザーフレンドリーなものに変わっていく必要がある。そのために法律の面白さを伝え続けていきたいです。

My Favorite! 教員編

好きな場所:

正門から東2号館までの道

木に囲まれて、ちょっと山歩き気分。ときどき狸との出会いがある。
好きなランチ:

志むらのランチ

2階でごはんを食べて、1階で和菓子を買うのがお決まり。
取材を終えて・・・ 取材・文=鈴木 文恵

法律をおしゃれに変えていく行政法の革命児

「誰も聞いてくれなくてもずっと言い続けていれば、意外と法律は変わったりするものなんです」と語る櫻井先生。きれいな研究室もやわらかな装丁の著書も、法律をいい方向に変える、法律の面白さを伝えるという信念からくるものであることに感銘を受けました。