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モノから人が見えてくる大学教員モノ語り 法学部政治学科 伊藤 修一郎教授のモノ語り「市民が行政を動かす力。 「地方自治」の 魅力を知る 」

教員プロフ 法学部政治学科 伊藤 修一郎 教授

市民が行政を動かす力。「地方自治」の魅力を知る

大学卒業後、地方公務員を経て「共に働いた人たちの役に立つ研究を」と研究者の道へ。2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程を修了後、群馬大学社会情報学部講師、助教授を経て2005年から筑波大学大学院教授に。2012年より学習院大学で教鞭をとる。地方自治全般、最近は街並み保存や屋外広告に関する研究を行っている。

Q.先生にとって大切なモノを見せてください。

研究の理想形がこの本の中にあった

大学院時代に2年間、地方自治を学ぶためにアメリカに留学しました。そこで出会ったのがイタリアの民主主義について研究したこの本。イタリアは南北に長い国ですよね。北と南では風土も雰囲気も違う。地方自治体の業績は、南に比べて北のほうがずっと優れているんです。それはなぜかと問いかけ、人々のつながりや積極的な政治参加が政府の能力に反映されているという仮説をデータや観察を通じて丹念に検証したもの。経済がすべてを決めるという考え方を覆して、人々の絆が大事だということを科学的に証明しているんです。「自分もこんな研究をやりたい」と、研究の方向性を決定づけた重要な一冊です。

1品目 ロバート・パットナム「哲学する民主主義」
2品目 卓上ベルとストップ・ウォッチ

ゼミや特別演習、それから私は自治体の職員研修を担当することもあるのですが、そのどれにも欠かせないのがプレゼンテーション。そのプレゼンに緊張感を与えるために、この卓上ベルとストップウォッチを使っています。どんな仕事に就いても、自分の考えを正確に、手際よく伝えるという技術は必要。プレゼンでは、つかみで冗談を言うことよりも、事前に時間を測って練習することのほうがよほど重要です。私自身しゃべりはうまくないし、最初からうまい人なんていません。「人前でしゃべるのが苦手」「あがってしまう」という人ほど、練習をしていないことが多い。事前に準備をして、練習を重ねておけば、もし難しい質問をされて一瞬頭が真っ白になっても軌道修正できるものなんです。

3品目 取材セット

地方自治体の取材で必ず使うのがこの3点。地方自治体の人や地元の町内会の会長さんなどにお話を伺うときのためのボイスレコーダー。そして町並み全体を捉えることができるよう、パノラマ撮影機能のあるデジカメ。町並みの保存は、開発とは逆方向の取り組みです。だから開発を望む人たちと保存したいという人たちとの間で対立が起こることもある。そんな話題は、レコーダーが回っていると話してもらえないことが多い。また、自治体職員から政治の話を聞き出すのは難しい。そういうときはメモだけか、もしくはメモもとらずに話を聞いて、終わったらひたすら書き起こす。そのためにモバイルPCも必須です。これらの調査を未来の地域づくり・政策立案に役立てたい。現場で汗をかいている人たちのために成果が出せればと思っています。

Q.先生のキャンパスライフってどんな感じですか?

授業と研究に没頭する日々

2012年4月に学習院大学に着任された伊藤教授。お話を伺った時点でおよそ半年、「いまはとにかく授業と研究に没頭しています」と真摯な答えが。

7:00 起床

新聞に目を通し、講義ノートをおさらい。

10:30 授業

毎回、冒頭で地方自治体に関するニュースに触れる。

12:00 昼食

だいたいは持参のお弁当。たまに食べるサブウェイのサンドウィッチでは、ターキーブレストがお気に入り。

13:00 授業の合間

授業の感想メモやミニ・レポートに目を通す。

14:00 授業

授業後は翌週の授業準備をして、学生たちへの課題をWEBにアップ。

19:00 帰宅→23:00 就寝

Q.普段はなかなか聞けないことを一問一答で教えてください。

休日の過ごし方を教えてください。
いまは授業と研究を軌道に乗せることが一番なので、土日も主に研究をしています。地方にいた時は家庭菜園をやっていましたが、東京では難しそうですね。代わりに、仕事に余裕ができてきたら、東京の街を見て歩こうかと思ってます。
授業中のハプニングや失敗談を教えてください。
前任校は75分授業だったので、演習での時間配分を間違えることがあります。講義科目では意図的に内容を増やしているので、時間が余ることはないのですが……。
今の研究分野に関することで、私生活に役立つことはありますか?
情報公開、環境対策、福祉のまちづくり、景観保全について進んだ取り組みをしている自治体とそうでない自治体の違いを考えてきました。この研究に付随する、子育て政策や医療費支援がどの自治体が手厚いかなどの情報は、どこに住むかを決める際に役立つかもしれません。
取材を終えて・・・ 取材・文=鈴木 文恵

「現場」へのまなざし

どんな質問にも静かに、ていねいに答えてくださる伊藤教授。しかし「現場で汗を流す自治体職員や、まちおこしに奔走する市民の皆さんの役に立つ研究を」と語る言葉の端に、地方自治に関わる人々に対する強い思いが見えるような気がしました。