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モノから人が見えてくる大学教員モノ語り 文学部史学科 鶴間 和幸教授のモノ語り「ジャンルを超えると 見えてくるものがある」

教員プロフ 文学部史学科 鶴間 和幸 教授

現場を幾度となく見てきた中国古代史の大家

1950年生まれ。80年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学ののち、日本学術振興会奨励研究員として1年間中国へ。そこで研究の対象を秦代に定める。中国社会科学院歴史研究所外国人研究員ののち茨城大学教養学部教授、そして96年に学習院大学文学部教授に。98年に博士(文学)を取得。

Q.先生にとって大切なモノを見せてください。

初めての中国をともに旅した本。

兵馬俑が発見されたのは1974年。その翌年に1115枚の竹簡が発見されました。これまで秦の時代に関する文字資料はほとんどありませんでしたから、すごい発見だったんです。それをまとめたものが77年に出版されて、日本では13万円程度だったんです。当時大学院生の私にはとても高価なもの。78年に初めて中国に行った時、最初に泊まった広州でこれを見つけました。なんと3万円。それでも高いですが、日本に比べたらずっと安い。すぐに買い、以降ずっとこの大きな本を抱えて旅行をしました。でもね、その後中国がコンパクト版を出したんです。それはたった2元ですから320円! 先にこちらを出してくれていれば……。

1品目 竹簡レプリカ本
2品目 展覧会図録

2000年の『四大文明 中国』展を皮切りに、秦の文明や兵馬俑に関わる展覧会では度々監修を行っています。展覧会に持ってくるモノの選定や借り出し、解説の記述。そして図録を編纂するのも大きな仕事です。2004年は『よみがえる四川文明』展と『大兵馬俑展』がほぼ同時に行われていたので、院生や若い研究者を2チームに分け、四川文明の方は三星堆遺跡なので星組、兵馬俑の方は馬組と名付けて作業を行いました。展覧会は我々の研究を広く一般の方に見ていただける大きなチャンス。私の研究室にも、「小さい頃に展覧会を見てこの道に進みました」と入って来てくれる学生が何人もいますし、会期中には小学生から手紙をもらったりもします。そういう反響はやはりうれしいですね。

3品目 始皇帝陵模型

2004年に上野の森美術館で行われた『大兵馬俑展』で使用した、秦の始皇帝陵の模型です。始皇帝陵は実際には発掘されていませんから、さまざまな文献や研究で「こうだろう」というものを形にしています。秦代の研究の魅力はいまも新しいものがどんどん発掘され、理解が進んでいます。私はいま、東海大学の情報技術センターの方たちとともに、衛星画像を使って砂漠の中にうずもれた遺跡の謎を探っています。東京天文台の方の協力も得て、宇宙の星の配置を投影して地下に宮殿をつくったという史記の記述の実証をしているんです。ジャンルを超えて様々な方と協力することで、新たな事実が見えてきます。2013年9月から上野の森美術館で行われる始皇帝と兵馬俑に関する展覧会「秦の始皇帝と兵馬俑展」(仮題)で成果の一部をお見せできると思いますよ。

Q.先生のキャンパスライフってどんな感じですか?

早起きで体力づくり!

早起きの鶴間教授。「とにかく体力勝負ですから」とジョギングを欠かさない。中国には休み期間中に集中的に行き、展覧会のために借りるものを選ぶことも。

6:30 起床→7:00 朝食

朝食後は体力づくりのため、毎日軽いジョギングを行う。

9:00 原稿執筆
12:00 出勤

時間がないので昼食は店屋物をとることが多い。二日酔いの時はカレーうどんがお決まり。

13:00 講義→19:30 帰宅
21:00 原稿執筆→24:30 就寝

資料整理や講義準備なども。展覧会準備がピークのときは作業が深夜に及ぶ。

Q.普段はなかなか聞けないことを一問一答で教えてください。

教授から学生たちのイメージをお聞かせください。
毎回出席カードの裏に意見や質問を書いてもらっていますが、授業をよく聞いていて面白い意見が多い。授業の場で聞いたときにはなかなか表情に出さなくても、しっかり理解してくれている学生はたくさんいますね。
授業中のハプニングや失敗談を教えてください。
試験開始10分前に家で気づいたことがあります。4限目と思い込んでいたら3限目だったんです。急いで副手さんに連絡をして研究室の机の上に用意していた試験問題を配布してもらい、私自身は試験終了20分前にやっと教室に辿り着きました(笑)。
教授の今後の展望を教えてください。
いまは2013年9月からの展覧会に集中しています。始皇帝陵と天文の関係だけでなく、顔認識ソフトの開発をしている企業の方と協力して兵馬俑の顔の特徴を抽出するなど、面白い展示をたくさん用意しています。
取材を終えて・・・ 取材・文=鈴木 文恵

学際的に歴史の謎を探る

天文学、化学、最新のコンピューターによる解析……とあらゆるジャンルの壁を乗り越え、古代中国の歴史を探り続ける鶴間教授。「いろんな方々の知恵を借りることで、僕たちだけではわからないことの理解が進むんです」と語る目は輝いていました。