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Close-up Seminar

史学科

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西洋史演習

中世ヨーロッパにも“コネ文化”があった!人と人とのネットワーク

中世の貿易でも
コネが活用されていた

 親戚や友人の企業を優遇する政治家や縁故入社、二世タレントなど、今の日本でもよく耳にする話ですが、この「コネ文化」には実に古い歴史があります。私が専門とするのは中世のイタリアで、特に貿易での人のつながりに着目した研究をしていますが、当時のヨーロッパにも、コネでビジネスチャンスを得た史実があります。中世ヨーロッパの商業の発展を学ぶうえで、善し悪しは別としてコネ文化はとても興味深いものです。

 昔ながらの歴史学では政治や制度を中心に考えがちでしたが、現在は幅広い視点で学べます。なぜなら、実際に世の中を動かしている力には、法律や制度以外の、もっと人間くさい要素が絡んでいるから。前述のコネ文化のように、家族や親類、友人、地域など身近な人とのつながりから生まれた家族史や社会史もまた、現代の歴史学では欠かせない領域です。

個人的な関心を社会現象と
つなげて学問に

 私が授業で担当するのは、中世の西洋史全般です。ローマ帝国崩壊後から16世紀頃までの1000年を超える時代が対象になります。本演習では、この時代の東西ヨーロッパ世界、さらに西洋との関わりが深い地中海のイスラーム世界まで広範な地域を扱います。

 学生の興味は、最初は「イタリア」「スペイン」という地域だったり、「キリスト教」「異文化交流」「ファッション」「音楽」などと漠然としています。そうした個人の関心を、学問として歴史的に考え、卒業論文へと導くのが本演習の役割です。

 洋服が好きなら「奢侈しゃし禁止令」から禁止された素材やデザインを調べたり、キリスト教であれば信仰に基づく慈善活動や魔女狩りなどを取り上げたり、各宗教の対立や共存の場として十字軍に着目したりして、興味の対象が当時の社会の中でどのような位置づけであったかを考えます。「実はこういうことにこういう意味があったのか?!」とわかる喜びを学生も教師も楽しむのが大学での学びです。

亀長洋子 教授

東京大学文学部西洋史学専修課程卒業。同大学大学院人文社会系研究科にて博士(文学)取得。2004年学習院大学文学部助教授、2012年より現職。専門:イタリアを中心とする西洋中世史。

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