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Close-up Seminar

生命科学科

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阿形研究室

プラナリアから学ぶ、“再生の秘密”—細胞は「GPS機能」を持っている?—

神秘だらけの再生の世界
—“ノウダラケ遺伝子の発見”

 「プラナリア」という、奇妙な生物がいます。iPS細胞と似た万能細胞を持つことで、どこで切断されても再生することができます。プラナリアの万能細胞は、どのようにして体の失った部分を感知して、再生に必要な細胞を供給することができるのでしょうか? その謎解きは、とあるひとつの遺伝子の謎解きから始まりました。何と、その遺伝子の機能を阻害したら、体中に脳を再生するプラナリアができてしまったのです。われわれはこの遺伝子を「ノウダラケ遺伝子」と名づけ、どうして体中に脳が再生したのかを調べました。

 その結果、「ノウダラケ」遺伝子は、万能細胞に頭の位置はここまでだという位置情報を限定している遺伝子で、機能阻害されると、頭という位置情報が全身に拡がることで「全身が脳だらけ」になってしまうことがわかりました。すなわち、プラナリアの体には位置情報(番地)がつけられていて、細胞はどの番地の部分を失ったのかを感知して失った番地を作り直し、万能細胞が新たな番地の細胞になることで元の体を再生することがわかりました。要は、多細胞生物の細胞は番地のシステムを構築することで固有の形を持つことに成功したとともに、再生できる生き物では番地を再構築できることがわかりました。人類はスマートフォンのGPS機能によって自分の位置を知ることができるようになりましたが、細胞は太古の昔に位置情報システムを作り、細胞は自分の位置を感知するシステムを構築していたのです。

好奇心が新たな発見を生み、
観察力が生物の謎を解き明かす

 サイエンスで基礎となるのが、「観察力」です。目だけでなく、五感で対象を見つめること。そのためには、何より好奇心が欠かせません。私の研究も、「なんで再生できるんだろう?」という純粋な驚きからスタートしました。ぜひ、皆さんも好奇心を忘れず、情熱をもって科学の道を志してもらいたいと思います。

阿形清和 教授

京都大学卒業。基礎生物学研究所助手、姫路工業大学助教授、岡山大学教授、理化学研究所グループディレクター、京都大学大学院教授を経て、2016年より現職。専門:再生生物学。

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