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Close-up Seminar

ドイツ語圏文化学科

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ゼミのルールが、
成長を促してくれます

文学部ドイツ語圏文化学科4年

久保琴愛

東京都・私立桐朋女子高等学校 出身

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来年から社会人になることもあり、日本とドイツの労働の現状を比較して、日本の労働の実態に迫りたいと思いました。そしてシラバスに記載されていた「移民・難民の就労」というキーワードにも興味をもったため、このゼミで学ぶことを決意。現在は、難民がドイツで働けるようにするために、ドイツがどんなことを行っているかを、主に調べています。このゼミの特徴として、仲間が発表をした際、全員が必ず一回は意見を述べるか質問をする、というルールがあります。全員から意見をもらう(または質問を受ける)ことで、たくさんの気づきを得られるようになり、また、必ず一回発言することで、相手にわかりやすく伝える力も身につきました。

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現代地域事情コースゼミナール

ドイツを真似た
日本の働き方改革が
上手くいかないワケ

父親の育休取得率、
ドイツ35%、日本5%

 日本で働き方改革関連法案が可決されたのは2018年6月。同法を含め、ここ10年くらいの間、日本で行われた様々な労働法改革は、実はかなり「ドイツの真似」といえるでしょう。ところが、ドイツで上手く機能している法律を真似ても、日本ではあまり機能していないのです。

 例えば、2010年に始まった男性の育児休暇(以下、育休)取得を推進する「パパママ育休プラス」は、ドイツの「パートナー月」を参考にしたものです。ドイツではすでに35%の父親が育休 (現地では「両親時間」)を取得しているのに対し、日本ではたったの5%。日本では有給休暇(以下、有休)もとることのできない人が多いのに、育休をとるなど考えられないようです。しかも、育休をとる間の収入は満額とはいかず、金銭的には完全に損になるので、育児のために休むとしても、有休を数日消化するだけというのが実情です。

 それに対してドイツでは、有休の完全消化が前提のうえ、育休中も金銭的に困らないように制度設計がされています。このように日独の労働分野での制度を比較してみると、日本の制度は、まるで機能しないようにつくられているかのような、様々な不備が見られます。

未来の自分のために
働き方をドイツから学ぶ

 このゼミでは、テキストを読みながらドイツの労働政策の実態から学び、最終的に「日本の労働政策への提言」を行います。1学期には、読んできたテキストについて、毎回全員に3分間ずつのミニプレゼンテーションをしてもらいます。最初は大変なようですが、学期が終わる頃には、皆人前で話すのが上手になっています。

 日独は同じ敗戦国として戦後を出発し、それぞれ経済大国に成長しました。でも、似ているようで、その背景にある両国の「哲学」はまるで異なっています。ドイツについて学ぶことは、今の日本社会を考えるための材料を得ることにもつながります。皆さんが社会に出たとき、残業するよりその時間を自分や家族・友人、そして社会のために使いたくないですか? 未来の自分のために、世界には違う働き方があることを学ぶのも大切です。

伊藤 ましろ 准教授

京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。京都大学博士(文学)の学位取得。国立国会図書館勤務を経て、2015年より現職。専門:トーマス・マンの文学、ドイツの図書館。

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