1982年一橋大学経済学部卒業。Chase Manhattan銀行、日本興業銀行(London、本店)、Bank of America Int’l(London)、Morgan Stanley(東京)等を渡り歩き、当時は大変珍しい女性為替ディーラーとして活躍。2004年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学商学研究科助手、明海大学経済学部准教授、専修大学商学部准教授を経て、2012年より学習院大学経済学部教授に。
大学卒業後、金融機関勤務を経て40歳で大学院に入りました。古典講読でアダム・スミスの『諸国民の富』を輪読したとき、経済学は人々が幸福に暮らすための生活に根差した学問であることを再認識したんです。この本といえば市場原理を言い表した「神の見えざる手」というフレーズが有名です。でも、私がそれよりも感銘を受けたのは、あるページの注記。そこには、この本はイギリスにおいてベストセラーとなり、アダム・スミスはすぐ議会に招聘され、出版の数年後には彼が説いた政策のいくつかが実行されたということが書かれていました。ここを読んで、社会科学の研究はただ理念を追い求めるのではなく、その成果を実社会に役立てることができる、それこそが重要なのだと再認識。「子育ての合間に勉強をしよう」という気持ちで大学院に行った私が研究の道に進もうと決意したのは、この本に出会ったからです。
自宅で2匹のねこを飼っています。1匹目はいま7歳。イギリスにいた頃、欧州のサッカーをよく見ていて、いちばん好きなチームはACミランだったんです。そこから名前をとってミラン。2匹目はまだ1歳。息子が『ルパン3世』を好きだからという理由でルパン。家族全員いそがしいので、猫の世話は当番制ですが、結果として誰にでもゴハンをねだり、少々太めです。気まぐれだけれど、時に甘えてひざの上に乗ってきたり、私のそばで眠っている姿を見ていると、仕事の疲れは吹き飛びますね。私のねこ好きを知っている家族や友人たちががねこの小物をプレゼントしてくれたりして、身の回りにはねこグッズがいっぱい。自分でもねこの絵がついていたりするとつい手に取ってしまうんですよね。
財務省や経済産業研究所関連の会議、自分の研究などで海外出張には度々行きます。東アジアに行くことが多いですが、ヨーロッパやアメリカに行くことも。だいたい2泊4日などの弾丸日程。とくにヨーロッパでは時差ボケで会議中に眠くなってしまうと困るので、到着したらすぐにミュージカルを観に行くんです。そのまま眠さをこらえて夜まで起きていて、その後ガッと寝て翌日の会議に臨む。これ、仲間うちではオーソドックスな時差ボケ解消法で、共同研究者と行くことも多いんです。作品がすばらしいときはパンフレットやCDを買います。ヨーロッパはミュージカルのような娯楽産業が成熟していますね。日本もこれから、若者だけでなく大人も楽しめる芸術産業が増えて行くべきだと思います。
研究者であるとともに、母親でもある清水教授。子どもたちとの時間を大切にしながら自宅でも仕事をしているため、平均睡眠時間は4時間半!
講義準備と講義。2012年の4月に赴任したばかりなので、まだゆっくりとキャンパス内を散策できていないのが悩み。
「80歳の母が高校生の息子の分と一緒につくってくれます」というお弁当を毎日持参。
最近は大学生の娘さんが夕食をつくることも。娘さんの得意料理はラタトゥイユやシチュー!
「子どもたちが幼い頃から同じ部屋で机を3つ並べて過ごしています」。高校生の息子さんが物理について教えてくれることも。
お子さんが寝た後、本格的に仕事に集中。
翌日に講義がない日は4時ごろまで仕事をして、ゆっくり起きる。
各省庁関連の仕事にも携わり、今まさに政策につながる研究を行っている清水教授。「国際会議に行くと、ミャンマーやラオスなどの中央銀行の人たちは若くて女性も多い。こういうところ、日本も見習わなくちゃ」と語る先生の視線はつねに世界に向いていました。