HOME  > 「学ぶ」  > 教員インタビューINDEX >  理学部化学科 秋山 隆彦 教授

モノから人が見えてくる大学教員モノ語り

化学反応を起こさせる物質
「触媒」を探し求める

1958年岡山県生まれ。85年に東京大学大学院理学系研究科化学専門課程博士課程修了、同年塩野義製薬株式会社に入社、研究所勤務。88年愛媛大学工学部助手、92年スタンフォード大学の研究員を経て94年学習院大学理学部化学科助教授に。97年より現職。

Q. 先生にとって大切なモノとは?

Apple Mac Book Air 11inch

26年間筋金入りのMacユーザー

あらゆるデータが入っていて、研究になくてはならないパソコン。1988年からずっとAppleの製品を使っています。なぜWindowsではないかというと、化学構造を描くためのソフトがアメリカで発売されたとき、それがMac専用だったんです。だから僕らの世代の化学者ならば8〜9割くらいはいまだにMacユーザーじゃないでしょうか。いちばん最初に自分で買ったのは、スタンフォード大学に留学していた25年ほど前。Macintosh IIciという機種で、当時40万円ほどしました。日本に帰国するときに13インチのモニターをトランクに、そして本体は手荷物として飛行機に持ち込んで持って帰って来たのをよく覚えています。

研究室の引き出しから出てきた先代のノートPCもやはりMac。撮影のために汚れを拭いてくださった先生が手にしていたのが瓶に入ったエタノール。化学者ならでは!

『若き数学者のアメリカ』藤原正彦

研究者としての心構えを知った一冊

学生の頃に読んだエッセイ。著者の藤原正彦さんは作家・新田次郎さんの息子で、お茶の水女子大学で教授をしていた数学者です。新田作品も好きでよく読んでいたこともあってふと手にとりました。藤原さんが若い頃、アメリカに1年間留学した頃のことが書いてあるんです。異国の文化に接して戸惑いながらも成長していく姿が描かれていました。当時はまだ化学者になるかどうかは決めていませんでしたが、「自分もこんなふうに好きなことができたらいいな」と感じました。ちょっと背中を押してくれた一冊かもしれません。数学者と化学者ではまったく分野は異なりますが、「研究者は楽観的であらねばならない」など、この本からは研究者としての心構えをたくさん学びました。

他にも、研究が比較的落ち着いているときなどは歴史小説を好んで読むそう。

触媒

広く世界で利用されている自慢の一品

我々の研究室では、光学活性な化合物を合成するのに役立つ酸触媒を開発し、2004年に発表しました。たとえばある薬をつくる時、ある試薬とある試薬を混ぜてつくるとします。でも混ぜただけでは反応しない。そこで必要なのが触媒です。これを入れることで、反応が進んでいろんな成分ができる。我々が発見した触媒は金属がつかわれていない有機触媒といって、環境にもやさしいんです。世界中のたくさんの研究者が利用してくれ、「秋山触媒」と呼んでくれる人もいます。いまはこの触媒の用途を研究しながら、また新たな触媒を探し求める日々です。夢は我々の触媒で実際の薬が作られるようになることです。

新たな触媒発見などの功績が認められ、合成化学の分野で優れた業績をあげ今後の発展が期待される研究者に与えられる名古屋シルバーメダルを受賞!

Q. 先生のキャンパスライフは?

世界とつながる研究

遅く寝て早く起き、ひたすら研究の日々。時折、秋山教授を訪ねてくる研究者とのディスカッションが楽しみだとか。

07:00 起床
09:00 大学到着
講義のほかにもメール対応、論文のチェックや学生との議論も。
11:30 昼食
12:30 仕事再開
時に海外の研究者が訪ねてくることも。
23:00 帰宅
遅めの夕食とお風呂。
25:30 就寝
仕事を持ち帰ってもこの時間には寝るようにしている。
世界中から訪ねてくる研究者との写真と一言を収めたノート。

Q. 1問1答で教えてください。

熱中していることは?

有機合成化学の研究! それによって、家族との交流がおろそかになるのは問題ですが。

お休みの日は何をしていますか?

ほとんど家でパソコンに向かって仕事をしています。日曜は歴史ものの韓国ドラマを観るのが楽しみ。『トンイ』『馬医』『チャングムの誓い』など、妻が観ていたのを横から観ているうち、好きになりました。

教授から見た学生のイメージは?

まじめに授業を受けている学生が多くいますが、いまは授業中にスマートフォンをチェックする学生も増えてきました。研究室の学生たちは毎日真剣に研究に取り組んでいます。彼らとともに新たな発見ができたらなと思います。

これからの夢、展望は?

酸触媒を発見したことで注目を集めましたが、それだけ競争の激しい分野にもなりました。我々の発見した触媒が薬の合成において工業的に用いられることをめざして研究を続けます。また、学生たちが学生時代の知識や経験を活かして化学系の企業などで活躍することを期待しています。学会や講演会などで卒業生に会えるのはうれしいものです。

編集後記

釣木 文恵 PROFILE

(つるき・ふみえ)
学習院大学文学部日本語日本文学科卒ライター。
雑誌「クイック・ジャパン」「ピクトアップ」などで執筆のほか、WEBマガジンでのインタビューなど。
大学時代は学部の談話室に入り浸っていました。

好奇心で研究を深める化学者

触媒について丁寧に説明してくださった秋山教授。「もちろん役に立つことが夢であり目標です。でも今までなかったものを見つけたいという好奇心や、人がやっていなかったことをやってみたいという興味がなければ研究は続きません」と話す笑顔が印象的でした。

学部関連コンテンツ

  • 学部についてもっと詳しく知るなら学習院大学 学部サイトへ!